• 視覚障害者が受けられる福祉サービス
    機器購入助成金、福祉制度

各種福祉制度の利用
国立障害者リハビリテーションセンター 視覚障害支援ハンドブックより抜粋

障害福祉等のサービス利用については、その目標として、サービスを利用しながらこれまで生活してきた地域(在宅)での生活を継続する、あるいは、サービス利用終了後に地域での生活にスムーズに繋げていくという考え方が重要です。従って、サービス利用開始時から、どこでどのような生活をするのかという目標を明確にして、それに向けた調整を早期に開始することが大切です。
福祉サービス等を適切に利用しながら地域での生活を組み立てていくことは、障害のある方ご自身の活動の幅を広げるとともに、家族の負担を軽減することにも繋がります。
利用可能なサービスについては、身体障害者手帳の障害等級あるいは年齢等により異なりますので、市区町村担当窓口等に相談しながら制度を上手に利用していくことが求められます。
主な制度として障害者総合支援法と介護保険とがあり、原則として65歳以上の方で「要介護」「要支援」と認定された場合(若しくは、40歳以上65歳未満で介護保険の特定疾患に該当する場合)は介護保険のサービスが優先されます。
障害のある方が障害福祉サービスを利用する際には、身体障害者手帳の取得が必要とされていましたが、平成25年4月からは指定の難病患者も対象となりました。
視覚障害に関係する主なものとしては網膜色素変性症が指定されていて、障害者手帳がなくても障害福祉サービスの利用が可能となっています。

地域生活支援事業

障害者総合支援法では、障害のある人が基本的人権を尊重されながら日常生活又は社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村を中心として「地域生活支援事業」が実施されています。
これについては、市町村によって、その対象者あるいは利用料等について違いがありますので、詳細については最寄りの市町村窓口に相談してください。
以下に、視覚障害に関する主なものを挙げます。

①相談支援

障害のある人やその家族等からの相談に応じ必要な情報提供等の支援を行うと共に虐待の防止や権利擁護のために必要な支援を行います。市町村内にある相談支援事業所が担当しています。

②日常生活用具給付等

重度の障害のある人等に対し、自立生活支援用具あるいは情報・意思疎通支援用具等、「日常生活用具」の給付又は貸与を行います。視覚障害に関する主なものとしては、電磁調理器、点字器、視覚障害者用ポータブルレコーダー、視覚障害者用活字文書読上げ装置、視覚障害者用読書器(拡大読書器、音声読書器)、盲人用時計等があります。品目は自治体により異なりますので、詳細はお住いの自治体の障害福祉窓口にご確認ください。

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居宅で利用可能なサービス

視覚障害のある方が自宅で利用可能なサービスとしては、障害者総合支援法では居宅介護(ホームヘルプ)、同行援護等、介護保険では訪問介護等があります。

①居宅介護(介護保険の訪問介護に相当)

このうち居宅介護(介護保険の訪問介護に相当)は、自宅を訪問したヘルパーが、入浴・食事・排泄等の身体介護や調理・洗濯・掃除等の家事援助等を行うものです。視覚障害のある方の場合、家事動作そのものはほぼできる(できていた)という方が比較的多いので、直接的な身体介護よりも、買い物や調理、掃除等の場面で、見えないあるいは見えにくいためにできなくなっている部分を補うという内容での家事援助を必要とすることが多くあります。

②同行援護

同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護等の外出支援を行うものです。単に移動することだけを支援するということではなく、「情報の提供」をするという役割もあります。

通所で利用可能なサービス

自宅から通って(通所)利用できるサービスとしては、障害者総合支援法では自立訓練(機能訓練)や就労移行支援(養成施設)等、介護保険では通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)等があります。

自立訓練(機能訓練)・就労移行支援(養成施設)

このうち自立訓練(機能訓練)は、視覚障害のある方一人ひとりの特性を配慮し、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、技術や知識など総合的な訓練を実施するものです。
就労移行支援(養成施設)は、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の国家資格取得を目指す理療教育を行うものです。

入所施設を利用するサービス

障害者総合支援法では、自立訓練(機能訓練)あるいは就労移行支援(養成施設)等の日中活動に組み合わせて、障害者支援施設での施設入所支援(入所施設) の利用が可能となっています。
施設入所支援の利用に際しては、地域生活を一層支援するという考え方から、その利用可能な対象者は障害が一定以上に重度であることや、定められた日中活動の利用に際して地域の社会資源の状況等から通所による利用が困難な方に限られています。

補装具費の支給

障害者総合支援法では、障害のある方の身体機能を補完または代替し、かつ長期間にわたり継続して使用されるものとして「補装具」が定められており、視覚障害関係では盲人安全杖(白杖)、遮光眼鏡等があります。
これらについては、その購入に係る費用が支給され、所得等に応じた(上限額等)利用者負担があります。

盲導犬の貸与

盲導犬を利用した歩行を希望される方は、盲導犬の貸与を受けることができます。
盲導犬貸与を受けるためには、「盲導犬と積極的に外出したい」と希望していること、約4週間の共同訓練(盲導犬と歩く訓練)を受けられること、責任を持って盲導犬の適切な管理が出来ること等の要件があり、また、「無償貸与」ではありますが、犬を飼育するための犬具類、ドッグフード代、医療費等は自己負担となります。
お近くの盲導犬協会あるいは訓練センター等にご相談ください。

医療費の減免

市町村によって対象となる障害等級等に違いがあるのですが、主に1、2級の方を対象として重度障害者医療費助成制度があります。これは保険診療に係る自己負担分を市町村が補助するものです。市町村によって一ヶ月あたりの負担上限額等が異なっていますので、市町村窓口にご確認ください。
また、網膜色素変性症等難病の方については、難病の方を対象とした医療費助成制度があります。これについては、申請窓口が福祉担当ではなく「住所地を管轄する保健所」となっていますので、ご留意ください。

年金制度

障害のある方が受給できる年金としては、障害の原因となった傷病の初診日に加入していた年金保険によって、障害基礎年金、障害厚生年金等があり、業務中あるいは通勤途上で発生した傷病であれば労災障害年金があります。
これらの受給に際しては、相談及び申請窓口が市町村の障害福祉担当窓口ではなく、国民年金の場合は市町村の国民年金担当課、厚生年金の場合は社会保険事務所等となっています。
また、初診日に年金保険に加入していること、初診日前に必要な納付期間を満たしていること、初診日から1年6か月後の障害の程度が政令に定められた一定の基準以上(重い)の状態であること等、受給できる要件が定められていますので、担当窓口でよくご相談、ご確認の上、手続きをしてください。

その他の減免や割引などの制度

①税金の減免

所得税・住民税・相続税等の障害者控除、自動車取得税の減免等があります。
税金の減免制度には一定の要件や申請期限等が定められていますので、内容 を確認の上、申請手続を取ることになります。申請期限等を過ぎると減免が受けら れなくなるので注意が必要です。  窓口は、税務署、都道府県税事務所等になります。

②NHK放送受信料の減免

NHK放送受信料が減額あるいは免除されます。
窓口は、最寄りのNHK放送局または営業センターです。

③旅客運賃の割引

JR、私鉄(鉄道、バス)、航空運賃等について、割引があります。
詳しくは各鉄道会社等にお問い合わせください。

④有料道路通行料金の割引

障害のある方が乗車している場合、有料道路通行料金が割引となります。台数、車種、所有者等の要件を満たした上で、事前の登録が必要です。市町村の障害福祉担当窓口にご相談ください。

⑤タクシー利用料金の割引

市町村によって、実施の有無、一ヶ月あたりの上限額、実施方法がタクシー券の給付あるいは事後に領収書を添付して申請する等、異なっています。市町村の障害福祉担当窓口にご相談ください。